滋養強壮に蜂の子

 蜂の子は古くから貴重なたんぱく源として、魚介類が手に入りにくかった山間部を中心に人々に親しまれ常食されてきました。海外の多くの国々でも蜂の子が食用とされてきた歴史があり、蜂の子の持つ滋養強壮の効果は、漢方薬の材料としても長年に渡り活用され続けています。

■ 滋養強壮と精力増強の違い?

 滋養強壮とは栄養素を体に補給し、 体の機能を強くするという意味です。サプリメントや健康食品には、滋養強壮と精力増強という言葉が混同して使われていますが、精力増強は主に性機能向上を目的として使われていますので、このふたつは似ているようで、実はその目的が違っています。

 とはいえ、滋養強壮、精力増強、両方の効果を持つ栄養成分が含まれているサプリメントが多く、結果的にふたつの意味の違いが紛らわしくなる原因となっているのも事実です。

■蜂の子に含まれる滋養強壮に良い成分

・たんぱく質

 蜂の子をはじめ、一般に昆虫食は たんぱく質の確保に良いといわれています。

 たんぱく質は必須栄養素のひとつで、筋肉、臓器、皮膚、血液、爪、髪の毛など人の体の大部分を構成します。人の体は水分が約60〜70%、たんぱく質が約20%を占めます。人の生命活動においてたんぱく質は必要不可欠な成分です。また、たんぱく質は免疫グロブリン、すなわち抗体の原料になり、ウイルスや細菌を排除し感染症、病気の予防にも働きます。

・たんぱく質の分解

 食品から摂取したたんぱく質は分子が大きくそのままでは使われず、アミノ酸に分解されたのち肝臓に送られ、各組織へと送られます。

・たんぱく質の必要摂取量

 厚生労働省の食事摂取基準によると、成人男性の一日のたんぱく質の必要摂取量は65〜70g、成人女性で55gとされています。

・蜂の子のたんぱく質含有量

 蜂の子は100gあたり9.40gのたんぱく質を含んでいます。

・たんぱく質を多く含む食品

 たんぱく質は肉類、魚介類、大豆製品、乳製品、卵に多く含まれています。肉類や乳製品など、たんぱく質を多く含む食品は同時に脂肪を多く含む場合が多いので、食べ過ぎると肥満や生活習慣病の原因となります。お米やパスタなどの穀類にも、量的には少ないですがたんぱく質が含まれています。

・アミノ酸

 食品から摂取したたんぱく質はアミノ酸に分解され、体の各組織に送られ、必要なたんぱく質が合成されます。すなわち、アミノ酸はたんぱく質を構成している最小の単位で、人体を構成するには20種類のアミノ酸が必要です。

・蜂の子が含むアミノ酸

 人体を構成する20種類のアミノ酸のうち、体内で合成されない9種類を必須アミノ酸、残りの11種類は体内で合成可能な非必須アミノ酸と呼ばれます。

 蜂の子は9種類の必須アミノ酸と10種類の非必須アミノ酸を含んでいます。

・アミノ酸が不足すると?

 必須アミノ酸は食品やサプリメントなどから摂取する必要があります。アミノ酸が不足すると、筋肉、臓器、皮膚、血液、爪、髪の毛などを作ることが難しくなります。

・蜂の子のアミノ酸スコア

 アミノ酸はバランスよく摂取することが重要で、特に必須アミノ酸はどれかひとつでも不足すると、アミノ酸としての効果が得られません。食品に含まれる必須アミノ酸のバランスは、アミノ酸スコアという国際基準が定められています。

 アミノ酸スコアが100の食品は必須アミノ酸のバランスがとても良い食品です。蜂の子はアミノ酸スコアが100以上の食品です。

・マグネシウム

 マグネシウムはカルシウムやリンなどと骨を構成するのに必要な成分です。マグネシウムはストレスを受けるとその必要とされる量が増えます。また、ホルモンの分泌、体温の調節、エネルギーの合成、神経伝達などに関わっています。不足すると骨の中のマグネシウムが溶け出します。カルシウムが働くためにもマグネシウムは必要で、骨の構成と精神面の安定の両方で必要になる成分です。

 マグネシウムの一日の必要推奨量は年齢に従い増減します。15〜17歳男性で360mg、30〜49歳で370mg、女性は15〜17歳で310mg、18〜29歳で270mgです。マグネシウムは海藻類に多く含まれています。

 蜂の子はマグネシウムを100gあたり21.1mg含みます。

・ビタミン類、カルシウム

 蜂の子に含まれる滋養強壮によいそのほかの成分として、ビタミンC、ビタミンB群、カルシウムがあります。

 ビタミンCはコラーゲンの生成に関わり、マグネシウム同様、ストレスにより必要量が増えます。ビタミンCは抗酸化作用、抗ウイルス作用も備えています。

 蜂の子はビタミンB群として、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸、ピリドキシン(ビタミンB6)、ビオチン、コリンを含みます。これらの成分はたんぱく質、脂肪、炭水化物の代謝に相互作用します。

 カルシウムは不足すると骨に貯蔵されている分が溶け出し、骨や歯に影響を与え、精神的にもイライラしやすく、疲労の原因なります。

■滋養強壮に蜂の子

 蜂の子が滋養強壮によいとされる理由はたんぱく質をはじめ、ビタミン、ミネラルなどの栄養素がバランスよく含まれているところにあります。ほぼ完全食品といえる蜂の子はサプリメントとしても販売されています。