蜂の子とセロトニン

 人の精神面に影響を与える神経伝達物質のひとつにセロトニンがあります。セロトニンは質のよい睡眠や精神の安定に関わり、幸せホルモンとも呼ばれています。蜂の子はこのセロトニンの合成に関わっています。

■蜂の子に含まれるトリプトファンはセロトニンを合成

 蜂の子は人の体を作るたんぱく質の最小単位であるアミノ酸20種類のうち、人体では合成できない必須アミノ酸9種類をすべて含んでいます。その必須アミノ酸のひとつのトリプトファンがセロトニンを生成します。

■セロトニンとは?

 セロトニンは必須アミノ酸のトリプトファンから、ヒドロキシトリプトファンを経由し生成されます。セロトニンは人体の消化管、血液、脳内の中枢神経系に合わせて約10mg程度存在します。人体にあるセロトニンの約90%は消化管に、8%は血液中に、残りの2%が脳内に存在します。

・消化管での働き

 最も多く存在する消化管でのセロトニンの働きは腸管の蠕動運動の促進です。従って、セロトニンの分泌が過剰であれば下痢になり、少ないと便秘になります。

・血液中での働き

 生成されたセロトニンは血液中の血小板に取り込まれ、血管を収縮させたり、血液を凝固させる働きがあり、怪我で出血した場合などに止血する作用があります。

・脳内での働き

 セロトニンは脳内では神経伝達物質として、神経同士を繋ぐシナプスと呼ばれる結合部分で、情報の伝達を行います。神経伝達物質はセロトニンの他にも数多く存在します。グルタミン酸、ギャバ(γアミノ酪酸)、ノルアドレナリン、ドーパミン、ヒスタミンなどがよく知られています。それぞれの神経伝達物質は、違った情報を伝達します。

■セロトニンが伝える情報

・意欲、思考、創造、行動、計画

 セロトニンは脳の前頭葉の前頭前野という部位で情報の伝達を行っています。前頭前野は意欲、思考、創造、行動、計画などを司る部位で、セロトニンの量が減ると前頭前野がうまく働かなくなり、意欲や社会性の低下に繋がってしまいます。

・不安、恐怖

 セロトニンは不安に関わる脳内の海馬や扁桃体にも関係しています。扁桃体が弱まると、恐怖や不安を感じにくくなります。逆に扁桃体が過剰に働くと、恐怖や不安を感じることが強くなります。セロトニンは海馬や扁桃体が過剰に働くことがなく、不安や恐怖を軽減させるように働くと考えられています。

・痛み

 セロトニンは痛みを和らげる鎮痛効果を持っています。

・睡眠

 セロトニンは脳の松果体でメラトニンというホルモンになり、体内時計を調節し、自然な睡眠に導きます。メラトニンは夜になると多く分泌されるので、時差ボケの解消に効果があります。

■蜂の子とセロトニン

 蜂の子に含まれるトリプトファンから合成されるセロトニンには上記のような効果があり、自律神経を調整する働きがあります。自律神経が乱れると体の不調の原因となります。

 しかし トリプトファンだけを摂取しても、アミノ酸の全体のバランスが欠けているとその効果はうまく発揮されません。蜂の子はトリプトファンをはじめ、すべての必須アミノ酸と非必須アミノ酸、そして多くのビタミン、ミネラルをバランス良く含んでいるので、トリプトファンが持つセロトニンを合成する効果を発揮できる優れた食品であるといえます。